適切な喘息コントロールと予防が必要な
『運動誘発喘息』について

ランニング

気管支喘息の患者さんの多くは、運動終了の数分後から一過性の気管支収縮をきたし、60分以内には自然回復します。このように運動後に喘息発作や気管支収縮が生じることを、運動誘発喘息(EIA : exercise induced asthma)と呼んでいます。
最大心拍数の
80%以上となるような比較的激しい運動を3~8分間すると運動誘発喘息を起こしやすく小児喘息患者に多く、約半数にみられます。これが気管支喘息の最初の兆候であることもよくあります。また重症な喘息患者ほど運動によって症状が誘発されやすい傾向があります。

 運動誘発喘息の発症機序について

運動時には過呼吸となるので、気道乾燥や気道冷却の結果、気道粘膜の浸透圧が高くなり、化学伝達物質が遊離され気道が収縮します。また、運動時の気道冷却により気管支粘膜の血流が低下し、運動中止で気道温度が戻る際に血管怒脹が起こり、血管透過性が増し、気道浮腫と狭窄をきたすとも考えられています。気象条件では湿度が低い時、また気温が低い時に発作が起こりやすく、運動が激しいほど発作が起こりやすくなります。

 運動誘発喘息の治療について

運動前の吸入薬

通常の喘息治療に加えて、運動の5~10分前に、メディエーター遊離抑制薬(インタール)や短時間作用性吸入β2刺激薬(メプチンエアーなど)、長時間作用性吸入β2刺激薬(セレベントなど)を使用するのが効果的と言われています。また、ロイコトリエン受容体拮抗薬(シングレア、オノンなど)なども有効とされています。(運動12時間前の服用が最も効果的とされています)
結論的には、運動誘発喘息がある喘息の患者さんに対して、吸入ステロイド薬を中心にした長期管理薬による喘息のコントロールと、吸入β2刺激薬等による運動直前の単回投与の両面から治療を行うことが大切になります。
但し、ドーピング検査が行われるような本格的な大会に出場する場合には、喘息治療薬の中に使用が認められていない薬物があるので注意が必要です。詳細についてはご相談ください。

 運動誘発喘息と運動

水泳

運動誘発喘息があっても体育の授業を免除したり、他のスポーツを禁止したりする必要はありません。身体機能の発達を妨げたり、内向的な性格を形成したりする危険があります。最近ではむしろ薬物治療を併用し適切なトレーニングを行うことによって、発作が起こりにくくなると考えられています。
運動誘発喘息児に最もお勧めの運動は水泳です。水泳は湿度、温度の高い環境で行われる運動で、気道が乾燥しにくく温度が低下しにくいためです。また水中で息を吐くため気道内に陽圧がかかり、気道の収縮が予防されること、ホコリが少ないことなどが発作の起こりにくい理由です。
水泳を続けて発作が起こりにくくなった場合、他の運動もできるようになります。またカゼをひきにくくなる、明朗、積極的な性格傾向になるなどの効果もあります。

 運動誘発喘息の予防法について

発作の予防のためには、前述の治療以外に、以下の注意が必要です。
1     運動開始前にウォーミングアップをする。
2     休息をとりながら行うインターバルトレーニングで、運動誘発喘息は起こりにくくなります。
3     短時間に強い運動負荷をかけるのは避け、時間をかけて持久トレーニングをする。
4     急に運動をやめずクーリングダウンをする。
1984年のロサンゼルスオリンピックでは金銀銅のメダリスト316人のうち、41人に運動誘発喘息が認められました。喘息であっても運動能力を高めることは十分に可能です。治療を継続し適切なコントロールで、トレーニングを続けましょう。

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