大きないびきをかく、呼吸が停止する、熟睡感がない、日中に睡魔に襲われる、
『睡眠時無呼吸症候群(SAS)』ではありませんか?
◆ 大きなイビキをかく。
◆ 呼吸(いびき)が止まり、大きな呼吸とともに再びイビキをかき始める。
◆ 朝起きた時に熟睡感がなく、すっきりと起きられない。
◆ 日中に強い眠気があったり、集中力が続かない。
こんな症状で困られていませんか?上記のような症状の方は「睡眠時無呼吸症候群」かも知れません。
「睡眠時無呼吸症候群(SAS: Sleep Apnea Syndrome)」は、山陽新幹線の運転手による居眠り運転(2003年)で一般に広く知られるようになり、最近では2012年に関越自動車道でツアーバスが運転手の居眠りにより防音壁に衝突した事件が記憶に新しく、その後もSASの関与した事故は後を絶ちません。
この病気は、寝ている間の無呼吸に自分自身ではなかなか気付くことができませんが、全人口の2~4%、日本では約300万人以上が罹っていると推測されています。
○ 睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、文字どおり、眠っている間に呼吸が止まってしまう病気です。
医学的には、10秒以上の呼吸が止まった状態を無呼吸とし、無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、若しくは1時間あたり5回以上あれば、SASとされます。
症状的には、上記の他に、
◆ 寝ている時 → 呼吸が乱れ息苦しさを感じる、何度も目が覚める
◆ 起きた時 → 口が渇いている、頭が痛い・ズキズキする、身体が重たい
◆ 日中 → いつも倦怠感や疲労感がある、よく居眠りをする、性欲がなくなる
などがあります。
一般的には、30~60歳代の男性で、肥満体型の方に多くみられますが、太っていなくても、痩せていても、女性でもかかる病気なのです。特に日本人は、小顔でアゴが小さいなどの形態的特徴によって、SASにかかる方が多くみられます。
○ SASの原因について
○ SASの合併症
睡眠中の無呼吸による低酸素状態や高二酸化炭素状態や、何度も起きて睡眠の分断による自律神経のバランスの崩れは、肥満、高血圧、高脂血症、糖尿病などの身体全体に関わる生活習慣病の発生や状態の悪化に影響を及ぼすようになります。
米国の調査では、健常人と比べSASの患者さまでは、高血圧は2倍、虚血性心疾患は3倍、脳血管疾患は4倍、糖尿病は1.5倍発症する可能性が高いとも報告されています。
それ以外にも不整脈、心不全、肺高血圧症、インポテンスなどの合併症も引き起こすと考えられています。
○ SASの診断について
まずは、指摘されたイビキの状況や日中の眠気等の自覚症状、生活習慣病の合併の有無などの問診を行います。
SASが疑われる場合には、ご自宅でも取扱い可能な小さな検査機器(左図 Pulsleep LS-120)を使って、普段と同じように寝ている間にできる簡易睡眠ポリグラフィ検査を行います。手の指と鼻の下にセンサーをつけ、血中酸素飽和度(SpO2)とイビキや呼吸の状態から気道の狭窄や呼吸状態を調べます。ご自宅でもできる検査なので、普段と変わらず仕事や日常生活をそれほど心配せずに検査することができます。
前日までに検査機器を当クリニックまで取りに来ていただき、連続2晩検査をして、その翌日に検査機器をクリニックへ持参してもらいます。検査機器の用意がありますので、ご希望の方は必ず予約をお願いします。
この検査は、健康保険が適応されるので、3割負担の方で2,700円となります。
○ SASの治療について
多くの場合、SASの治療とは長い付き合いになるので、治療を始める前にご自身のSASの状況をしっかり把握し、十分に主治医と話し合っておくことが大切です。また、ご家族やパートナーの理解も必要となるでしょう。
欧米や日本国内でで現在最も普及しているSASに対する治療は、「CPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸)療法」です。CPAPとは、「Continuous Positive Airway Pressure」の頭文字をとったもので、鼻に装着したマスクから空気を送りこむことによって、強制的にある一定の圧力を気道にかけ、気道を閉じないようにする方法です。(右図参照)
CPAP療法によって、患者さまは鼻でスムースに呼吸をすることが出来るようになり、、睡眠時に気道が閉塞しなくなるため、酸素不足を解消でき睡眠の質を向上させることができるのです。ほとんどの患者さまが使ったその日からイビキをかかなくなり、朝もすっきり、昼間の眠気も軽くなり、消えることもあります。
この治療も健康保険が適応されるので、1ヶ月約4,500円で可能ですが、CPAP療法を続けるには定期的な当クリニックへの受診が必要となります。また、CPAP療法は根治療法ではないので、治療を止めるとSASの症状は再発してしまいます。
※上記CPAP療法の写真は、フィッシャー&パイケルヘルスケア株式会社のホームページから引用させていただきました。