尿の回数が多い、我慢できず尿を漏らしてしまう
『過活動膀胱』かも知れません
◆ 尿をする回数が多い。
◆ 急に尿がしたくなり、我慢が難しいことがある。
◆ 我慢できずに尿を漏らすことがある。
こんな症状で困られていませんか?体質や加齢のせいと諦めていませんか?上記の内、ひとつでも当てはまる方は「過活動膀胱 (Overactive Bladder : OAB)」の可能性があります。「過活動膀胱」は膀胱が過敏になり、自分の意に反して収縮してしまう病気で、最近の調査でも非常に多くの方がこの病気で悩んでいらっしゃることが分かりました。
○ 過活動膀胱の症状について
過活動膀胱で最も重要な症状は「尿意切迫感」です。
・尿意切迫感 ・・・・ 急に排尿したくなり、我慢できず、これ以上我慢すると尿を漏らしてしまいそうになる感じ
・昼間頻尿 ・・・・・・ 日中に8回以上排尿に行く
・夜間頻尿 ・・・・・・ 夜間寝ている間に排尿のために1回以上起きなければならない
・切迫性尿失禁 ・・ 尿意切迫感があり、トイレに間に合わず漏らしてしまう状態
症状から考えても、過活動膀胱は命に関わるような病気ではありません。しかし、頻尿や尿失禁をいつも気にして、人との付き合いや外出が嫌になったり、仕事や家事がおろそかになったり、気分が落ち込んだり、QOL(生活の質)を著しく損なってしまいます。
○ 過活動膀胱の原因について
過活動膀胱の症状は、自分の意思に関係なく右図の排尿筋が収縮(不随意収縮または排尿筋過活動)してしまうことで起こると考えられています。
その原因は、①神経因性と②それ以外のものがあります。
①脳卒中や脳梗塞などの脳血管障害、パーキンソン病などの脳の障害、脊髄損傷など脊髄の障害等の後遺症により、排尿筋の収縮をコントロールしている中枢神経がうまく働かないために、「尿がたまったよ」「まだ出したら駄目だよ」「もう出していいよ」といった信号のやりとりが上手く出来なくなります。その結果、膀胱に尿が少ししか溜まってなくても尿を出そうとしたり、膀胱や尿道を緩めたり締めたりする連携がうまく働かなかったりして、過活動膀胱の症状が起こるのです。
②膀胱や尿道を支える骨盤底筋という筋肉が、加齢や出産によって衰えて尿を貯められなくて症状が起こります。これ以外にも何らかの原因で膀胱の神経が過敏に働いてしまう場合や、原因が特定できない場合もあり、いくつかの原因が複雑に絡み合っていると考えられています。
上記の原因の特定できないものや加齢によるものが、実際には最も多く見受けられます。
○ 過活動膀胱の有病率と受診率について
○ 過活動膀胱の診断と治療について
過活動膀胱の診断は、病歴・症状の問診、尿検査、超音波検査などの結果に基づいて行われます。症状の確認には、主に過活動膀胱症状質問票(OABSS)が使用されます。尿検査では、尿の成分を分析し、血尿がないか、細菌が入っていないかを調べます。超音波検査では、膀胱に残っている尿(残尿)の量や、膀胱や尿管の形や状態などを調べます。
治療としては、内服薬による治療が一般的です。内服薬には、膀胱の過度の収縮を抑える働きのある抗コリン(ムスカリン)薬と、膀胱を緩めて尿を貯める容量を増やすβ刺激薬があります。また、排尿間隔を延ばして膀胱容量を増やす「膀胱訓練」や、尿道を締める骨盤底筋の収縮力を高める「骨盤底筋体操」も効果的です。
「女性のミカタ」プロジェクトのホームページから一部イメージを引用させていただきました。