あれこれブログ

2016.03.29

アトピー性皮膚炎と汗

皆さん、こんにちは^^
3月もあと2日で終わります。
だいぶ暖かくなってきましたね。
桜も順調に開花しているようです。
しかし、気温が上がってくると気になるのが「汗」。
今回は、アトピー性皮膚炎とその汗の関係をお届けします。

アトピー性皮膚炎(通称アトピー)は、アレルギーの体質があったり、それに加わる乾燥肌が原因で起こる病気です。症状としては、強いかゆみ、湿疹があり、さらに皮膚の免疫力が低下していることから感染症にもかかりやすいと言われています。これらの症状は、様々な要因で悪化するのですが、その中のひとつが、「汗」です。なぜ汗をかくと、アトピー性皮膚炎の症状が悪化すると言われているのでしょうか?また、本当に汗がアトピー性皮膚炎を悪化させる要因なのでしょうか?

まず、汗には体温調節、感染から身を守る、肌の保湿などの機能があります。汗をかくことが悪いとは言えません。さらに、アトピー性皮膚炎診療ガイドライン(日本皮膚科学会、2016年版)では、実は発汗自体がアトピー性皮膚炎を悪化させるという明確な根拠はないと示されています。それでは、なぜ汗とアトピー性皮膚炎の関係性が注目されているのでしょうか?

この理由を説明するためには、「汗」を大きく2つの観点から見る必要があります。
前述した汗は、「いわゆる汗をかくこと」です。汗のもうひとつの側面は、「かいた後の汗」です。実は、過去の研究において、「かいた後の汗」はアトピー性皮膚炎の症状である痒みを増強するということが報告されています。つまり、「汗をかくことがアトピー性皮膚炎の症状を悪化させる」ということではなく、「かいた後の汗をそのままにしておくことがアトピー性皮膚炎の症状を悪化させる」と捉えることが適切なのです。

前述のように、アトピー性皮膚炎の症状は「かいた後の汗」により悪化する可能性がありますが、そもそもアトピー性皮膚炎では「発汗障害」と呼ばれる汗をかく機能の異常が認めれていて、時間当たりの発汗量が少ないという報告も多くされています。この理由として、アレルギーに関わる要因のなかでも、ヒスタミンという物質が多く分泌されることで発汗が少なくなると言われています。
簡単な仕組みを説明しますと、アトピー性皮膚炎では、汗をかくはずの場面(例えば、緊張する場面、運動、ストレス、体温の上昇など)で十分に汗をかけず、皮膚内に熱がこもったり、皮膚が乾燥することで、皮膚に現れる症状が悪化するというわけです。
このように、実は汗をかくことが悪いというよりも、適切に汗をかくことはアトピー性皮膚炎では必要なのです。

それでは最後に、アトピー性皮膚炎で汗をかいた場合、どのような対処法により、症状の悪化を減らすことができるのでしょうか。
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016では、以下の記載があります。
汗をかいた場合は、シャワーや水を含んだタオルなどで洗い流すといった対処法が良さそうです。また、着る洋服に関しても少し工夫するだけでも違うかもしれません。例えば、汗をよく吸収してくれるものや速乾性の良いもの、ゴム性ではないものといった衣類にすることです。

今回は、アトピー性皮膚炎と汗の関係について述べました。繰り返しますが、ポイントは「汗をかくことが悪いのではなく、汗をかいた後にそのまま放置しておくことが悪い」ということです。お忘れなく!

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